当院で施行する脂肪吸引は、シリンジ法かつ局所麻酔で可能な範囲です。ですから脂肪注入も、頬や瘢痕のへこみなど小範囲のものに限られます。
治療の流れ; 腹部または上腕に麻酔を注射して、3㎜程の小孔を開けます。量的に必要があれば、フェザリングといって脂肪層をハチの巣状に疎に広げ、必要がなければフェザリングしないで、カニューラを入れて移植脂肪を採取します。大きい塊は小さくし、1mlのシリンジに詰めて、局所麻酔した皮下の脂肪層に0.05mlずつ細かく注入してゆきます
治療後の流れ;採取部位も移植部位も内出血や腫脹が置きます。採取部位は圧迫。移植部位はやさしくガーゼなどで保護します。ドレーンという血液を外に廃液する管を入れた場合には、翌日か翌々日に抜去します。移植脂肪は少しずつ吸収されます。脂肪細胞が生着(つまり血流の再開)するまでに、移植脂肪は40-70%になります。その為大抵の場合は多めに移植します(腫れて見える)。また一端生着した後も、年々少しずつ吸収されて減って行きます。どのくらいの容量が減ってしまうのかは、まだはっきりとしたデータはありません。
治療のリスクや副作用;感染、血種など。複数回の注入が必要。長期的にまた治療が必要になる。腫瘤形成(瘢痕形成、嚢腫形成)を起こすことがある。凹凸がみられることがある。移植した部分がしこりのように触れることがある。吸収されて期待ほどのvolumeが出ない。